ピアノのメンテナンス/調整とアクション
最近、ピアノのメンテナンスをした。
定期的な調律とは別で、
鍵盤のアップとダウンのバランスを平均値に整えて貰うことをメインに
調整して頂いた。
大 中 小 のランクで言えば、
まだ小さな方の規模のメンテナンスになるが、
調律士さんのご判断上、
現段階で出来る作業、現時点やっておくべき作業を
マックスでお願いした。
初日の下調べの日を除いて
マルっと2日、2日目は2人体制(1人だったら3日掛かる)。
今まで触ったことのない箇所、部品の作業は、
非常に繊細で、当然時間を要するものだった。
調律作業でも見ていて面白いなーと感じる故、
普段見られないその作業の様子は、一層関心深く、
かなり見学のおじゃま虫になってしまった。
やはり
プロである調律師さんのお話、作業内容の説明は
非常に勉強になる。
YAMAHAのグランドピアノのバランスは、
メーカーとしての平均値で浜松から出荷されるが
G型、C型、S型、フルコン
型によって、設置環境に対する楽器のデリケート度も
当然変わってくる。
除湿器も調律師さんの推薦のものを運転させて
気を掛けてはきたけれど、
ピアノ自体の年数経過、また部品に天然素材部分が多い故、
綺麗なままの持続は難しかったようだ。
フロントピン、キャプスタンスクリュー、、etc
バックチェックは、一部部品の取り替えとなった。
アクションの構造は、私にはとても繊細なものとしか思えない。
スタインウェイファミリーが仕組みを作り上げたピアノは、
指数関数の緻密な計算で成り立っているとのこと。
ヨーロッパの調律士学校では、
関数の計算ができる計算器が出てくるとか。
ピアノメーカーによって、材料の木材もこだわりが違う。
そこまで追求すると材料学も関わってくる。
これを“ピアノの原理は単純なもの“と捉えることができる人は…
理系に長けた頭の良いプレイヤーさんだと思う。
これを見ると、鍵盤に託された力が
沢山の部品を介してどう伝わっていくかがよく分かる。
ピアノ演奏者は、弾きながら
このアクションの動きを横から見ることはできないけれど、
アップライトピアノ(縦型ピアノ)との違いは勿論、
カックンとなるアフタータッチがどのような仕組みでそうなるのか
その瞬間の動きを見るのはとても面白い。
これが88コ、88鍵。
ベーゼンドルファーのインペリアルなら、プラス9鍵。
私は、ベーゼンドルファーが好きなのだが、
ベーゼンのプラス9鍵による音の深みは、大きな魅力な分、
低音部高音部のバランスも変わり、
家のYAMAHAのアクションとの違いも、どうしても否めない。
このインペリアルの拡張鍵盤を弾く(使用する)
例えば、「沈める寺/ドビュッシー」を、
その作曲家の意図であろう「深み」を持って
表現することができるようになるには、まだまだ歩みが必要だ。
この上記のアクション模型は、
日本の大学時代の教授の部屋にも置いてあった。
私は、ヒト様に教えることはしていないけれど、
もしそのような機会に出会えた時は、
私も生徒さんに
この仕組みを見せるアプローチにしたいなと想像している。