シュトゥトガルト〜入学試験〜その1
(さよならワルシャワの街 その3 の続き)
ワルシャワの第二空港から
ドイツのシュトゥットガルト空港へ。
そして空港から直結しているSバーンの列車に乗り換え
中央駅まで30分ほどの距離。
言葉の壁も大いに感じながら
シュトゥットガルト中央駅に降り立った。
シュトゥットガルトは、高級車ベンツの町。
中央駅正面を出ると、
誰でも知ってるあのシンボルマーク。
でっかい大きな看板が高々とあり、クルクルと回って誇らしく見える。
郊外に葡萄畑の緑が広がるコンパクトな町は
日本人サッカー選手の活躍で更に知られることになった。
ドイツが好きな人なら、
輝かしいクリスマスマーケットの賑わいを思い出されるかも。
やはり古いものと新しいものが絶妙に混在しているのだけれど
またワルシャワとは別のコントラストがあった。
大学まで小走り1分の距離。
一番初めに住むことになったアパートは、
有難いことにレッスンを受けることになっていたラトゥシインスキ教授が
新聞掲載の短期住人募集に気付き、
受験を控える私の条件にぴったりだと勧めて知らせてくださった上、
私がワルシャワにいるうちに内覧し、仮契約まで済ませてくださっていた物件。
ありえない親切。
短期とは、
つまり「この夏のロングヴァケーションの間だけ、
部屋がガラ空きになりますので、間貸ししますよ〜」というもの。
シュトゥットガルト着地は3回目になり、場所も大学から近かったので
当アパートへ予定通り迷うことなく到着することができた。
ピーンポーンすると、アパートの持ち主であるご夫婦と
ゴールデンレトリバーのワンちゃんが笑顔で出迎えてくださった。
英語とドイツ語の混ざった会話で、
慌ただしく各部屋やバスルーム、台所の使い方
そしてワルシャワには無かった初めての地下洗濯室の説明を受けた。
奥様は「キッチンに置いてある食べ物はどんどん食べて構わないわ♪」と
言ってくれて、ワンちゃんがあまりにも懐いてくれたので
「この子置いていこうかしら」などと笑って冗談まで言って
私をリラックスさせてくださった。
旦那さんもとても温厚で優しそうな人だった。
ご夫婦とはメールで事前のやり取りもしてあったので
小一時間で本契約を済ませることができた。
教授からの紹介の学生だったので
きっとそのことの信頼が大きかったのだろうと思う。
改めてラトゥシインスキ教授に感謝した。
ご夫婦は、その夜は友人とのお別れ食事会をして
次の日ワンちゃんを乗せ、車で娘さんのいるフランスへ出発する
ということだった。
正直、高いお家賃で、はみ出す贅沢な部分は大きかったが、
ご夫婦がまた戻ってくるまでの短期間に、受験に備え、自分の状況を前進させ、
学生の身分になってから存分に倹約しようという目標にした。
住み始めて分かったのは、
日本では経験の無かったヨーロッパらしい?音。
ワルシャワでは近くに無く気が付くことがなかったのだが、
そこは一日に何回も、
教会の鐘の音がすぐそこで鳴り響くように聞こえるところだった。
この街の人は、この音色が生活の一部なのだろうと感じた。
窓から覗いても十字架を乗っけた建物は見えないのだが、
どこだろ?と思いつつ、聴いていた。
ラフマニノフの鐘ならぬ シュトゥットガルトの鐘♪
シュトゥットガルト音楽造形大学の入試は、
当然ドイツ語で指示される。
ラトゥシイスキ教授の事前レッスンを経て、
私はまず夏期ゼメスタの入試を受けたのけれど、
根拠のない自信が持てる精神ではなかった性格が
幸か不幸か、受験当日にモロ爆発してしまった。
後から考えれば幸だったとポジティブに考えれるのだけれど、
大失敗をやらかしたのである。
(その2に続く)