恩師の言葉


セミナーに行ったのは、大学院1年を丸一年履修した後の春休み。

帰りの飛行機の窓から
ワルシャワの赤い屋根群 を眺めながら、
日本到着後すぐ大学へ退学届を提出しに行く計画を立てていた。

大学院の教授には、事後報告になり、
少々びっくりさせてしまったと思うのだけれど、

恩師は、

『 留学した、留学したって言っては戻って来るけれど、
  結局、何も変わってないやつばかりだ。
  君は、自分の中で、変わったと感じれるまで、帰ってくるんじゃないぞ。
  そのつもりで行ってきなさい。                    』

と背中を押しならがら言ってくださった。
(私が通っていた教育大から音楽留学した生徒の前例は、当時聞いたことが無かった)

この言葉は、私にとって本当に大きかった。

留学中の私を「自分は変わったか、変われているだろうか?」と
常に自問自答させ、自分を律する太い基軸となり、

同時に、

前進する、分かるようになること=イコール
それまでの自分の無知の自覚であること、を何度も感じさせられた。

まだ変われていない。こんな自分では恩師の前に帰ることは出来ない。

一時帰国も、しばらく遠のいた。
そうした結果、私の留学は二国に渡る長いものになった。

時を(話を)戻そうヾ( ̄∀ ̄)

恩師の承諾と言葉を心に受けとめ、
大学の事務室に、退学手続きをしにいくと、

院1年の間に、かなり余分に単位を履修してあったため、
学籍処理担当の事務局のおじさんに、

「(留学は)卒業してからでも遅くないか? 単位がもったいなくない??」 
などと、説得のごとく色々案じられた。

そうか…そう思われることもちゃんとふまえて、海を渡らなきゃな。。。

そう思いながら「もう決めたんで」と意志の揺らぎが無いことを、
おじさんには伝えた。

1年間の履修は認められ、
日本の学歴は、晴れて正式な“中退“となった。