ロベルト・シューマン音大への道 その3
今は分からないけれど、
当時、ドイツは州立ごとに音大の受験資格が様々だった。
シュトゥットガルト音大は、そこまで厳しくなかったが、
最後に通ったデュッセルドルフの音大は、
最低B2(レベル)というドイツ語の検定資格が受験時に必要で
入試申し込みの書類の中に、合格証明書を含めなければならなかった。
私がデュッセルで受験した専攻は、
語学証明のほかに、
州立(国立)大学のマスター課程を修了していることも必須条件だったが、
専攻によっても、違いがあったかもしれない。
語学学校は、
講座費を支払えば、好きなコースに自由に入れるというわけでなく、
B2取得コースに入れるか入れないかの事前試験があり、
点数が満たなければ、下の級のコースになってしまうシステムだった。
B1を持っていれば、おそらく有資格者として免除になったが、
その時点、未取得だった私にとって、
B2の事前試験は、
それまで自分の人生には無かった、一か八かの殴り込み受験となった。
とにかく私は、語学学校受付のマダムに、
B1が無いからダメよと言わせないように
「絶対絶対どうしても私にはB2が必要なんだ!だから受けさせて!!」
という猛烈アピールをした記憶がある。
心中は、崖っぷちの事前試験だったが、無事点数はとれたようで入学でき、
授業が始まってからは、いつも一番前の席でかぶりついていた。
かといって発言はすこぶる控えめな変なアジア女は、
コースを皆勤で通いとおして、何とかB2資格はゲット。
合格発表の時は、本当に心臓が口から出そうだったじゃなくて、
本当に出たと言っても言い過ぎじゃないくらい、心臓が高鳴っていた記憶がある。
急ピッチで勉強したドイツ語は、今やもうすっかり退化した。^^;
入試当日、指定された曲は、
クラリネット、チェロ、ピアノ編成のベートーヴェン&ブラームスのトリオ。
ピアノソロ曲は、たしかハイドンのソナタetcを弾いた。
室内楽曲のあとに、ソロ曲を弾くよう
試験官に指示されて、
「あと残りは、ソロ曲だ。がんばれ、自分。。。」と
奮起した時の感覚を、今もその時の視界の映像と共に覚えている。
ドイツ人の優しいクラリネット学生君とチェロ学生君のお陰で
室内楽の演奏も、とっちらかったわけではなかったが、
おそらく、シェンク先生の最後の押しのお陰で
合格できたのだろうと思っている。
外国人の受け入れをよく分かっているベテランの教授の先生は、
当然、音楽以外にみているものが沢山あると思う。
合格には、きっと色々なものが含まれていたんだろうな、、、と振り返る。
私の留学は、出身大学とのつながりなども無く、
ノーコネクションにつき、毎度、自力本願型だったが、
そのなかでも正直、私はすこぶる
ひと、先生に恵まれた、希な方だったと思っている。
感謝。合掌