難関アパート探しと銀行口座残高証明書


(外人という身分での)アパート探しの大変さ。
これは特に、自費で留学した人間が味わう、苦労話だろう。

最近の留学生事情は、
もしかしたら変わっているのかもしれないけれど、

私が海向こうに居た当時は、ワルシャワもドイツも
(特に楽器をもつ学生は)
何ヶ月も居住場所が見付からないことが、普通に起こり得た。 


そういう事態から出来るだけ自身を回避することも
海外で生きていく術のひとつ。

よって各地域の日本人会というものに所属して、
ネットワークを拡げておくことも大切なのだろうが、

私は、昔から部活は帰宅部、一匹狼娘の気質だったため、
結局海外、どこの地域でも属すること無く。

結果的に、ドイツでは、ネイティブの学生が下宿アパート探しをする時と、
全くおなじシチュエーション&条件でアタックすることとなった。

ドイツにも、日本の「住宅情●館」や「スー●」のような住宅仲介業者が
あるにはあるのだが、学生の下宿向きのような小さい物件の取扱は皆無で、

さらにセレブ向けなのか、その仲介料というのがスコブル高いため、
学生は、ほとんど利用しないと聞いた。


そのかわり、WG(部屋を何人かでシェアして借りるタイプ)の情報を
一挙に集め運営している専用ネットサイトがあり、

学生たちは、そこで検索し、エントリーなり募集なりをして
自分の下宿先を見付けていく。
(WG=個別の部屋は別々だが、トイレ、バス、キッチンは共同)

募集しているのは、シェアの先住人(学生)、もしくは家主。

私も通うことになった大学から、公共交通機関での連絡が良く、
また家賃ができるだけ安いシェア物件を検索し、いくつもエントリーした。


良い物件と思うのは誰もが同じなので、いいな~と思うところというのは、
必然的に、エントリー数、いわゆるライバル数は多くなる。

エントリーするのは、私のような外国人もいれば、勿論
ネイティブのドイツ人もいるので

そうなると、外国人留学生は、
なかなか選んで貰えず、大変な道のりになるわけである。


シェアして、一緒に上手くやっていけそうだな と思って貰えるか否か、
もしくは、部屋を貸しても大丈夫そうだな と思って貰えるか否か、

の勝負になるので、

同じ国籍同士は、どうしたって安心を思うし、
日本という国のイメージも、人それぞれあるわけで。

得体の知れないアジア人がまともに勝負しようとすりゃ、
どうしたって簡単な話にはならないわけである。。。


選抜から外れるのは、勿論のことだが、

内覧の約束を取り付け、その日
はるばるドイツ版の新幹線で南から北へ移動して来たのち、

まさかのドタキャン(ピンポンしても不在)というのは
何件もあった。

そんな中、巡り会えたのは
美大で美術を専攻するポーランド女子大学生=アンナの住むアパート。

大きなリビング、寝室、子ども部屋、キッチン、トイレ&バスがあり、
その子ども部屋に同居させてもらう、シェアさせてもらう条件。
(アンナがリビング+寝室を使用。その他は共用)

覚えるのが大変だったポーランド語が、
まさかの隣国ドイツのデュッセルの地で、役に立ったのである。

アンナは、純血のポーランド人だったが、幼稚園からドイツで育ってきたお嬢様で、
ポーランド語もドイツ語も堪能だった。

部屋探し疲れが出ていた頃だったので、
もうアンナの部屋=これを逃したら、後は無いという勢いだった。

家賃が安かったので、
自分以外にもエントリーしている学生が沢山いることを悟った私は、

内覧 兼 面接の時、半端ない自己アピールにかかった。笑

(アンナには直接の関係は無いのだが)
ポーランドで過ごした思い出と感謝を盛りだくさんに訴え、

私がポーランドからドイツに渡ってきた経緯と
シュトゥットガルト時代の5人WGで得た経験値の高さを、

ポーランド語とドイツ語を混ぜて、猛烈にアピールした

と、思う。笑

結果、ポーランド人の親日家の多さに、この度も救われ、
選抜を見事突破し、契約成立!めでたしめでたしとなったのだ。

アンナとの二人WGシェア生活は、ノンノンストレス。

彼女は、いつも綺麗に盛りつけたサラダを食べるベジタリアン。
キッチンも綺麗に使うし、お掃除も上手。

離れて暮らす仲良しの家族と、電話で話す可愛い高い声が、
毎日隣の部屋から聞こえてきてたのが、懐かしい。

シェア仲間として私なんぞ選んでくれて、感謝しかない。


デュッセル音大入学後、起きた大きな問題のひとつに
最近あのKKさんで話題になった、銀行残高証明書の件がある。


ポーランドに比べ、シュトゥットガルト時代の滞在ビザ取得が
非常にスムーズだったため、

そこまで構えず、ビザ申請に役所へ出向いたのだが、
そこで、すこぶる厳しい命令が下りたえーん


ビザ局のドイツ人お姉さん職員が仰るには、

私が所有していたドイツの銀行口座の残高が少なすぎる 。。。
というのだ。つまり

デュッセルドルフでの滞在ビザ取得のために、
日本の銀行の普通預金残高証明が必要、次回までに提出せよ。と。


日本のドイツ領事館で、日本に滞在する私の身元保証人の申請をし、
さらにその人の普通残高証明書の提出が必要になってしまったわけである。


これは、外国人の留学生が、ドイツ内で不法な労働、
犯罪をすることを防ぐ意味合いも含まれて居るのだろう。

いざとなったとき、日本から十分な送金ができる条件がないと
ドイツで留学、学生としての身分は与えられない、ということだ。


頼るは日本の家族。
娘からの緊急願いにそつなく動いてくれた身内の有り難さ、

そのお陰で、在留資格は無事ゲットできたのであった。汗

滞在ビザ申請の大変さというのは、私のような学生だけでなく、

現地でコレペティの仕事を持っている(きちんとした雇用を受けた)ような
日本人でさえスムーズにいかず

申請時には、結局あれが足りないコレが足りないと指摘され
なかなか大変だと聞いた。友人論含む。

結婚か、派遣などの日本政府のお墨付きでもない限り、
ビザ申請というのは、通常容易ではない

というのは国境なく、変わらず感じたこと。

今もドイツで仕事をしている友人らを、
私は、海を隔てて尊敬している。