卒業試験演奏会


デュッセルの卒業試験は、演奏会形式。


私が属していた課程は、室内楽コンサートと題した
朝から晩までの二日間に渡る公の催しに出演し、

その中で、約1.5時間程の室内楽プログラムを演奏する。


一見、普通のコンサートプログラムの一環に見えるのだが、

実際は、客席の中に審査中のプロフェッサーが居るというような
シチュエーションになる。


私の時は、たまたまのプログラム順で
日本人ではないアジア人の一つ後の出番で演奏することとなったのだが、


早めにホールへ到着すると、

あれ?ここ、ドイツだったよねぇ??(゜_゜;)と思うくらい
もの凄い数の日本人ではないアジア人が客席を埋めており、

親戚なのか仲間なのか分からないが、とにかく凄い応援の熱量だった。



前のアジア人学生の演奏が終わり、私との間のわずかなの休憩タイム。

ご一行は、一斉にご退散され、
その瞬間、閑古鳥が鳴いてあっけにとられた。(゜ロ゜)笑


が、掃除のバイト仲間だけでなく、
日本人の学友も、みんな協力して足を運んでくれたので、

全く寂しくないあたたかな卒業試験演奏会になったことは、
今も感謝してもしきれない。


なんか思い出はいっぱいあるのだが

記録しようと思ったときからもあっという間に時は過ぎ、
どんどん記憶が遠くなってしまった。


演奏表現の技術的足がかり留学は、約9年も掛かっちまったが

なんとか日本へ持って帰ってきた微かな灯を消さないよう、
三歩進んで二歩さがりながら探り続けてきて


この2,3年前辺りから、ようやく

自分なりに出したかった音に近づく一筋の光に感じるようになった、、、、かな?
と 長い月日が経った今日この頃感じる。


留学スタートが5年早ければ、違ったかな。。。と思うこともあるが

教育大学で学んだ5年は、完全に未熟だった私の人間形成、
精神的にも必要な年月だっただろう。


結局、学生といっても、受動的ではなく、能動的な姿勢でないと
”自分”は見付けられない。


私の留学期は、
ちょうどスマートフォンをみんなが持ち始める寸前だった。


という理由に重ね、

わたしは写真を普段からあまり撮らないので
留学中にカメラを持ったこともなく、思い出の写真が一枚も無い。。。

身体の中のフィルムは、色あせないよう
これからも音楽に誠実でいたいと思っている。