レントゲンとピアニスト
今日は、レントゲンの日。X線が発見されたことを記念する日だ。
そんなレントゲンを、かつてピアノ奏法理論の解説において
画期的なアイテムの一つとして用いた人がいる。
デッペの弟子、エリザベス・カラントだ。
彼女自身にズームをあてて調べた記録は、おそらく日本にはない。
参考文献とされず、知ることさえないだろう存在だ。
最近発信されている動画は、
肩甲骨から、とか、身体全部で弾く、実は姿勢が肝心!というような、
新ネタを突如後出しじゃんけんしたかのように聞こえるものが
明らかにに多く目にするようになった気がする。
ソースの説明は無いので、何が元となっているのかは分からないが。
リストの弟子らがデッペにも教えを受けていたという時代の流れの中、
師の後を継いだデッペの直弟子カラントは、
100年以上前に背面の重要性を声を大にして訴えていた。
発見されたばかりでまだ被ばくというリスクも知らず、
目に見えない部分の重要性を伝えたいがために
自分が被写体となり、カラントはレントゲン写真を撮った。
しかしそれを介し背面、肩甲骨の重要性を解してみても、
その真意は多くの人の理解を得ることが出来ず、
やがてその理論は水面下に追いやられていった。
カラントのレントゲン写真は、数えれば130年以上前に撮影されたものになり、
見方を知らない素人からすると
それでもかなり綺麗に映っているように見受けられるが、
現在のレントゲンは、更に深く鮮明に映るそうで、
それによって病気の解明も進んでいるらしい。
カラントが当時実行したことは、
まだレントゲン室という概念も無かった初期だったから可能であったことで、
世間は身体の中が見えるというだけで、かなりの驚きだったに違いない。
レントゲンを通し、ピアニストとしてカラントが言いたかったことは
まず骨の位置関係で、発達した今のレントゲンのように
骨の輪郭や細部までの必要は無かっただろう。
彼女にとっては、身体内部が撮れるだけで画期的で充分だった。
ただ当時、この肩甲骨の意味を正確に理解した人は、
傍らにいた生理学者レイモンド博士だけだったかもしれない、
というのは、何ともモドカシイものである。

